孤高の画家 泉澤守を推す
画家 泉澤守の名を訊いても、知る人はほとんどいないであろう。泉澤の画才は少年の頃から近在では知られる存在であった。地元の美術愛好家でありパトロンとしても著名な井上房一郎翁の知遇を得て、高校生で個展を開催。その後、多摩美術大学に進学し、卒業後は目利きで知られた東邦画廊で個展を開催して、難波田龍起に次ぐ期待の新人として注目された。
しかし、その後は郷里に戻ってしまい、一切の組織に属さず、名誉を求めず、真摯に独自の創作を続けてきた。日本の風土に合った油彩画を追求し、黒を基調とした品格のある抽象画を描いたが、一時、ステンドグラスに凝り、「泉澤は画家を辞めたようだ」とも噂された。
さらに十年の時を経て、再び油彩画を描くようになった。ステンドグラスに熱中したことで、色彩がより豊かになった。
この度、こうした優れた画家が一地方で埋もれてしまうのは惜しいと考え、枝香庵に相談したところ本展が可能になった。多くの方々にご高覧いただければ幸いである。
鬼石 私の本もの美術館館長 秋山 功
泉澤 守(いずみさわまもる)
1948高崎市に生まれる
1972多摩美術大学卒業
1979第3回上毛芸術奨励賞 受賞
2009「群馬の美術」 群馬県立美術館
2015「山名將夫・泉澤守・小林正 三人旅」 高崎市美術館
〈個展〉
1966高校生で初個展開催 あすなろ美術サロン(高崎市)
以降、地元を中心に個展を開催
1980年代から阿久津画廊にて個展多数開催
2003泉澤守 水彩画展 阿久津画廊
2019デカルコマニー展 阿久津画廊
2020泉澤守展 -風景- 阿久津画廊