平澤重信 個展

時の縫い目

2022年2月5日(土)-2月15日(火)(水曜日は休廊)

11:30~19:00(日曜日、最終日は17:00まで)

会場:7F 枝香庵Flat/WEB

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展示作品

朝の10時はネコタイム
平澤重信

49.5x49.5cm
¥220,000(税込)

そばを通って
平澤重信

SM
SOLD

作品詳細

道すがら
平澤重信

SM
¥44,000(税込)

忘れ物をした日
平澤重信

11.6x18.4cm
SOLD

作品詳細

八田さんのいる風景
平澤重信

40x32.5cm
SOLD

作品詳細

一瞬、風になれ
平澤重信

F60
¥440,000(税込)

さよならをばらまいて走る
平澤重信

41x51cm
¥88,000(税込)

春 そして希望
平澤重信

F0
¥132,000(税込)

雨の日はひとりがいい
平澤重信

F0
¥132,000(税込)

風の泣くところ
平澤重信

SM
SOLD

作品詳細

もう二度と
平澤重信

SM
¥88,000(税込)

T.Yから -黙礼-
平澤重信

S30
¥1,540,000(税込)

誰も知らない明日
平澤重信

43.7x145cm
¥1,540,000(税込)

緑黄色社会 -里山-
平澤重信

S20
¥1,100,000(税込)

緑黄色社会 -不在-
平澤重信

F80
¥2,200,000(税込)

緑黄色社会 -廃線風景-
平澤重信

F100
¥3,080,000(税込)

背守り -赤い糸-
平澤重信

F50
¥1,650,000(税込)

ストーンサークル
平澤重信

S20
¥1,100,000(税込)

ずっとあなたが好き
平澤重信

SM
¥220,000(税込)

気にしないで
平澤重信

SM
¥220,000(税込)

そして船が行く
平澤重信

SM
SOLD

作品詳細

遠い日の風景
平澤重信

SOLD

作品詳細

誰も知らない
平澤重信

F3
¥264,000(税込)

ひとりごとのようにつぶやいている
平澤重信

S3
¥264,000(税込)

ひとり時間
平澤重信

F0
¥132,000(税込)

声を探している
平澤重信

F0
SOLD

作品詳細

風の声がささやいて走り去った
平澤重信

15x15cm
¥88,000(税込)

NEKOにふさわしい場所
平澤重信

9x6cm
¥44,000(税込)

真昼の夜に染まって
平澤重信

15x15cm
¥88,000(税込)

緑の気息
平澤重信

¥176,000(税込)

ひとり上手
平澤重信

9x9cm
SOLD

作品詳細

木と草
平澤重信

¥33,000(税込)

ガラス絵 小
平澤重信

3-6cm
¥33,000(税込)

ガラス絵 中
平澤重信

5-10cm
¥44,000(税込)

ガラス絵 大
平澤重信

9-14cm
¥66,000(税込)

ガラス絵 F0
平澤重信

F0
¥88,000(税込)

きつねや猫やサイコロや階段やねずみや煙をはく家と

大倉宏(美術評論家)

動物と人間の境界はそれほど明確なものとは思えない。(平澤重信)

 ヒトの見ている世界は、パソコンのモニターのようにフラットではなく、円錐形をしていると、ある本で知った*。子供時代によく食べたパラソルチョコレートの先端は、包み紙の中でかならず折れていた。見る、とは、折れやすい先端、つまり焦点部分だけを摘んで食べる(記憶する)ということなのだ。折れ残った部分である周辺視覚は見られているが、意識されない。

 では動物の視覚は、どんな形をしているのだろう。こんもりもりあがった丘らしいと思うのは、たとえば猫に、見つめ合うこちらの先端(焦点)が溶けていく感覚をよく覚えるせいだが、絵を描く平澤重信の目も、そんな丘状の起伏を、絵筆の自転車で、下りたり上ったり、上ったり下りたりしている。

 動物の夢のことを、焦点のない平澤の絵を見ながら思う。イメージとイメージ未満が溶けている。周辺視覚ではイメージの輪郭がくずれ、混ざり合う。それは夢の構造であり、そこにくりかえし登場するモチーフ(イメージやイメージ未満)はそのヒト(あるいは動物)固有の経験やコンプレックスや願望の在り処を語っている。視線をゆらゆら泳がせていると、見つめ合う動物の脳内世界に迷い込んでいくようだ。

 先端の記憶だけでヒトの見るができているなら、周辺視覚は要らないのだろうか?あいまいな周辺が消えて、視野ぜんぶがフラットに、焦点を結んだ状態になることがあるという。そのとき世界はモニターの写真像のように明確になるが、ヒトは感情を失うらしい。感情は見えない斜面の丘から生えて意識に枝や葉を伸ばす草であり、木なのである。動物のような目をした画家の、ゆるやかな目の斜面を一緒に、荷台に乗せられ下っていくと、そんな感情の草むらややぶに体が入っていくような、夢という水におぼれていくような心地になる。いつしか上り坂になり、気がつくと同じ荷台にきつねや猫やサイコロや階段やねずみや煙をはく家が乗っていたりするが、いずれの御時にか平澤の人生と交渉があったらしい彼らは、道が下りになるとまた、草むらの地面にゆるやかにとけていくのだった。


*アントン・エーレンツヴァイク『芸術的に見ることと聞くことの精神分析』

平澤重信