オーガベン・市野裕子 二人展

G氏に捧ぐ

2026年2月21日(土)-3月2日(月)(水曜日は休廊)

11:30~19:00(日曜日、最終日は17:00まで)

会場:7F 枝香庵Flat

15年近く前まで遡りますが、とある画商さんから素晴らしいコレクターさんに作品を求めてもらったよ、と連絡がありました。その方が五島さんでした。藤沢にお住まいだったので、その後も展覧会のご案内をさせていただき、ありがたいことにほとんどの展覧会へ足をお運びくださいました。印象に残っているのは、亡くなられた奥様を偲び、月の絵を多くお求めくださった事です。元々、僕は夜をテーマにした絵を描いていたので、五島さんの感性に響いたのでしょう。また、あらゆる事に造詣が深く、在廊されている間の何気ないお話が刺激となり、新たな作品の骨子となることがしばしばありました。いつも少年のような澄んだ目で語りかけてくれた優しい方でしたが、揺るぎない信念をお持ちで時折見せる厳しい眼差しが心に残っています。今もアトリエに五島さんの書を飾ってありますが、遥かなる場所から温かな眼差しで、日々生まれ落ちてくる作品たちを見つめてくれているような気がしています。

オーガ ベン

純粋のひと G氏のこと

純粋 まじりけがないこと「__­の水」。邪念が全くないこと。
  ひたすら行うさま「__に真理を追求する」。(Google検索による)

そのような人を知っています。その人は書や絵画、陶器など美術全般、そこに生きる人々や場、何より先立たれたツレアイさんを満月­­ちゃんと呼んで、こよなく愛した方でした。私は彼のペンフレンドでありました。彼の大好きなペンフレンドと言い直しても、ウフフと笑って許してくれそうな気もします。優れた詩を沢山遺した詩人でもありました。私の絵のタイトルでも詩を書いてくれました。最晩年には段ボールに書いた大量の魅­­力あふれる書を遺しました。五島さんは井上有一をとても敬愛していましたので、書に至るのは必然だったかもしれません。五島さんの書は独自の力強い造形力に満ち、やはりその純粋さから来る自由さで恐るべき域に達していました。我家には五島さんの大切な言葉「笑」がいつも掛かっています。彼のもう一つの得意技。それは、一見バラバラに見える言葉や物事や人さえも、数珠玉のように結び合わせて意味を付加し、ひとつの円環のように繋げてしまうこと。そのように素敵な方々との大切なご縁も結んで頂きました。この枝香庵さんでのオーガさんとの企画もそのような円環の中に生まれた出来事です。五島さんに心を寄せながら、準備から終わりまでの時間を楽しみたいと思っています。瞳は­いつもきらきらと輝いてお茶目な方でありました。その人の純粋とは、美しくあろうとする決意、自身の真心との切実な約束であったと思います。固定されたものではなく瞬間瞬間に更新され続けた真心で、明け方、妻への愛のために泣いていた人に、二人展を捧げます。五島氏を知る方も知らない方も是非お立ち寄りください。

市野 裕子

オーガベン