銀座ギャラリー枝香庵での個展は、2007年5月が第一回目で、今回で四回目になります。西村冨彌先生、画廊主荒井様はじめ多くの皆様のご支援に守られて、毎年開催することができています。感謝に堪えません。ありがとうございます。
自分の身の回りに起きたことや旅先などで書き留めたスケッチを元に、その年々の記録を、絵画として仕上げる行為は、それらの出来事や感動を後に残し、伝えるのに効果的な手段の一つであると思っています。
そして、それを毎年発表していければ、自分のかすかな足あとを、少しでも公的にあらわにし、履歴として確実に残していけるものでもあります。
とくに絵画を行う行為の目的は何か?などと問われても、また自分自身に問いかけても、それは曖昧であります。
あえて絵画の視点として言えば、身の回りに生じている自然や環境に対する“憧憬”と“感動”であります。そして、それらと“人とのかかわりあい”でもあります。
それらに出あうと、思わずスケッチと言う物理的な行為をすることもありますが、多くは、脳裏に映ったいわば「静止画像」の記憶であります。
今回の作品の技法については、2002年に開催した絵画展「メキシコ物語展」の画集でも詳しく著わしていますが、概略以下の通りです。
まず、スケッチをスキャナーを通して、PCに記録し、画用紙にプリンターにて出力したものに、多くの場合は水彩色鉛筆で塗りこめ、完成したものを、さらにスキャナーでPCに取り込み、簡単な画像ソフトで修正を加え、出力します。そして最終仕上げとして、アクリルや水彩などの絵の具で筆を加え一点一点完成します。
一枚のスケッチができてから、完成まで(どこで満足するかはありますが)最短でも2-3日要します。長ければ1週間経ってもうんうんと唸ってしまうこともあります。
今回の作品約30枚は、完成させるのに一年近くかかりました。やはり私にとって個展は年に一回が精いっぱいです。
今回の旅人シリーズで出かけた主なところは、サンフランシスコ・タイ-チェンマイ周辺・スペイン・パラオ共和国です。
どうか、私なりの絵画を通した世界をご覧いただけ、お会いしてお話できれば、癒しのひと時にもなると思う次第です。
2010年 秋 尾藤正樹