人を作ろうと思う 人の形に託そうと思う
私にとって、彫刻する理由のすべては、己が人の姿をしていること以外にない。
奇妙な人の形を作ろう。 優しい人の形を作ろう。 美しい人の形を作ろう。
未だ見ぬ人の形を作ろう。
人には全てを表すありとあらゆる形と表情が備わっているではないか。
何よりも身近であって、しかし捉えようのない弱き己が心の有様を形にする以外に残された仕事がどこにあろうか。
ひとつでも多く、人を作ろう。 そのために生きてみよう。
高垣勝康
美大入学以前、私たちはそれぞれに、高垣先生のもとでデッサンを学んだ。
その目はきびしく、ことばは重く、その声はとてもやわらかく。
技法ではなく、ものを「見る」ことについて問いを投げかけてくれる師だった。
生きる姿勢、そして美とは何か、と。
稲富淳輔・忠田 愛