2008年10月2日に卯港さんが亡くなって3年が過ぎました。枝香庵では2回目の展覧会になります。独特の美しい色彩、漂う哀愁にますます惹かれます。ぜひ、ご高覧ください。
卯港さんの風景画や物語をはらんだ叙景画は独特の味わいをもっている。洛陽でさまざまに染め上げられ、刻々に変幻し、黄昏てゆく空。そこに鮮やかな緑や黄を勢いよく刷く。
卯港さんの夢と現実との間(あわい)を揺れ動く思いが凝縮され、独特の色彩が綾なす感傷美にとどまらない切迫した気配は誰にも表現できない荘厳にして絢爛たる交響詩である。
孤愁を湛えた暗い透明感のある画面が惻惻たる余韻を漂わせて美しい。
島田誠著
「絵に生きる 絵を生きる 五人の作家の力」
(風来舎)より
高野卯港(たかのうこう)
画家。
1948年12月、鹿児島市生まれ。
高校で当時教員だった画家和気史郎氏に絵のてほどきを受け、画家を志す。
大阪市立美術研究所で油絵を本格的に学ぶ。
1986年 個展(現代画廊)
1988年 個展(海文堂ギャラリー)
1994年~1995年 パリへ遊学
以後、海文堂ギャラリー、ギャラリー島田、茶屋町画廊などで個展。
2008年6月 個展(ギャラリー島田30周年記念)
2008年10月2日 慢性白血病のため逝去。
画集
「高野卯港スケッチ帖」(2009年発行)
「高野卯港画文帖 夢の道」(2010年発行)